Q. 知人が経営している中小企業の株式を保有していますが、株式を譲渡するには会社の承認が必要だそうです。こうした株式も自己破産をする際に資産として申告しなければならないのでしょうか?
A. 自己破産の際には、譲渡が制限されている「株式」についても、資産として申告しなければなりません。
「株式」とは、会社から配当を受ける権利や株主総会で議決に参加する権利といった株主としての権利であり、財産的価値があります。ただし、株式の譲渡が制限されている株式は、証券取引所で取引されていないので、資産としての評価額を把握することは非常に困難です。
しかし、だからといって、財産的価値がないと思って申告せずにいると、裁判所に財産を隠したと判断され、債務を免れることができる「免責」が認められなかったり、破産手続自体が認められなかったりすることが考えられます。
自己破産手続きや免責許可決定を円滑に進めるためには、裁判所に財産状況を的確に伝えることが必要となります。弁護士にお気軽にご相談ください。
1.自己破産と個人の資産
自己破産は、全ての債権者に平等に債務者の財産を分配することが原則です。このことから、自己破産を申し立てる際には、自身の財産を裁判所に申告しなければなりません。
そして、株式もこのような ”自身の財産”のうちの一つです。「株式」とは、会社から配当を受ける権利や株主総会で議決に参加する権利といった株主としての権利であり、こうした株主としての権利を紙に表したもの「株券」とをいいます。
株券は財産的価値がありますから、自己破産を申し立てる際には”資産目録”に現金・預金のほか株券や手形・小切手などの有価証券についても記載して提出します。
2 株式の評価額
証券取引所で取引されている「上場株式」の場合、評価額は、原則として時価となりますので、証券会社などで確認できます。
これに対し、株式の譲渡による取得について会社の承認を要する株式は、証券取引所で取引されていないので、評価額を把握することは非常に困難となります。
株式の価値が高く、破産手続でお金に換える必要がある場合、証券取引所で取引きされている上場株式は破産管財人が株式を売却できますが、「非上場株式」については破産管財人が会社の代表者などに買取りを請求するなど手続きが複雑となります。
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3.株式を保有している場合の自己破産の手続きのご相談
株式は発行した会社の株主名簿で管理されるので、必ずしも株券が株主に交付されるわけではありません。株券が発行されていない場合、「上場株式」については、証券会社の口座などを資産目録に記載することになります。これに対し「非上場株式」については、株券が発行されていなければ、株式を発行している会社で株主名簿を確認するなどしなければなりません。
中小企業でも企業価値が非常に高い場合がありますから、非上場株式の財産的価値を把握することは非常に困難です。
仮に、中小企業の株式だから財産的価値がないだろうと思って自己破産の申立ての際に申告しなかった場合、裁判所に財産を隠したと判断され、債務を免れることができる”免責”が認められなかったり、破産手続自体が認められなかったりすることが考えられます。
自己破産手続きや免責許可決定を円滑に進めるためには、裁判所に財産状況を的確に伝えることが必要となりますから、自己破産のご相談の際には株式など財産の状況を正確にお知らせいただくと、当事務所は裁判所に財産状況を的確に伝えて参ります。
自己破産をお考えになる際、価値がわからない財産がありましたら、当事務所にお気軽にご相談ください。