「浪費」と免責

前回のブログでは、「ギャンブルが原因でも破産できるのか」をテーマに考えましたが、今回は「浪費」について考えてみたいと思います。

 

例えば、クルマが好きで自動車の購入や修理代金で借金が増えてしまい、生活費も借金をするようになってしまったという場合で考えてみましょう。

このような浪費で借金が増えた場合も、破産手続きで「免責」を受けることはできるのでしょうか?

 

借金などの債務について法律上の支払義務を免れることを「免責」といいます。裁判所が免責を許可できない事由(「免責不許可事由」といいます。)の1つに浪費をしたことによって著しく財産を減少させたこと」があります。

「浪費」にあたるかどうかは、債務者の財産・収入・社会的地位・生活環境のほか、支出の使い道・動機・目的・金額などが考慮されます。
仮に、免責不許可事由がある場合でも、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して、「免責許可決定」をすることができます。
免責許可決定を受けるためには、債務者の事情・債権者の事情などを的確に裁判所に伝えることが重要となりますので、自分は免責を受けることはできない…とあきらめる前に、まずは弁護士に相談しましょう。

 

1.「免責不許可事由」とは
 借金などの債務について法律上の支払義務を免れることを「免責」といいます。免責は、わかりやすく言えば、債権者に誠実な態度をとった債務者への特典のようなものです。
 法律には、裁判所が免責を許可しないことができる事由(「免責不許可事由」)として、11項目が定められています。
 免責不許可事由の1つに、浪費をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと、が含まれます。

 

2.免責不許可事由としての「浪費」
(1)「浪費」の判断要素
 「浪費」は、必要で通常の消費をこえた不相応な支出をいいます。
 具体的に浪費にあたるかどうかは、債務者の財産・収入・社会的地位・生活環境のほか、支出の使い道・動機・目的・金額などが考慮されます。
 これらを考慮して、支出の程度が社会的に許される範囲を超えるといえれば「浪費」にあたります。
(2)免責不許可事由となる具体例
 浪費をした結果として、著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合に、免責不許可事由となります。
 例えば、趣味で収入に見合わないクルマを数台買い替えたため、借金の大部分が自動車の購入や修理代金のためのものである場合などが考えられます。
 そのほか、すでに数千万円の借金があるのに借金をして株式投資をした結果、さらに数千万円の借金をした場合などが考えられます。

 

3.「免責許可」への対応
 裁判所は、免責不許可事由がある場合でも、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して、「免責許可決定」をすることができます。
 例えば、債務者が急に解雇されたり、家族の借金の肩代わりを迫られたりするなど債務者だけを非難できない事情があり、債権者が免責に異議を述べておらず、経済的更生の見込みがある場合などには、免責が許可される場合があります。


 当事務所は、債務者の事情・債権者の事情などを的確に裁判所に伝え、免責を受けられるよう努めています。まずは安心してご相談ください。

 

こちら(「免責とは」)もご参照ください。