自己破産手続の流れ

申立てから、破産手続開始決定へ

 自己破産手続は,裁判所に破産手続開始申立書その他必要書類を提出することから始まります。

 また,裁判所から指示された予納金も納める必要があります。

 申立てを受けた裁判所は書面を審査し,場合によっては債務者を裁判所に呼び出して裁判官から事情について質問を行うなどした上で,債務者が「支払不能」(分かりやすく言えば,頑張っても全額返済することができない状態にあること)の状態にあると判断すれば,「破産手続開始決定」を出します。

債務者に財産がない場合

 そして,債務者に見るべき財産がなく,その後の破産手続の費用すら出ない場合には,破産手続開始決定と同時に破産手続を終結させる旨の決定を出します。これを「同時廃止決定」といい,個人の自己破産の多くはこの同時廃止事案となっています。

債務者にそれなりの財産がある場合

 他方,債務者にそれなりの財産があるようなケースでは,破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任されます。

 破産管財人が選任されたあとは,破産管財人が裁判所の監督の下,債務者の財産を管理・換価し,債権者への分配(配当)を行っていくことになります。

 配当が終了した時点で破産終結決定が出されます。

免責許可の申立てと免責許可決定

 以上の破産手続で返済しきれなかった残債務について,破産終結後にその支払義務を免除する制度が「免責」です。破産手続開始決定とその終結決定を得ただけでは,債務者が負っている債務の支払義務はなくなりませんので,免責を得ない限り,自己破産を申し立てた目的は達成できません。

 

 免責を得るためには「免責許可の申立て」が必要ですが,「免責許可申立ては行わない」旨の意思表示を行わない限り,破産申立てと同時に免責許可申立てを行ったものとして扱われています。

 裁判所は,破産終結決定後,法が免責を許可しないと定めた事由に該当しないか否か,該当する場合であっても裁量により免責を認めてもよいか否か,について審査します。審査期間は事案によりますが,概ね2~3か月間です。その結果,裁判所が「免責許可決定」を下し,これが確定すれば,残債務の支払義務がなくなります。

【動画で解説】裁判所における自己破産手続きの流れ