破産は,債務の返済が出来なくなった方について,その財産を換価して債権者に分配し,残った債務については免責(法的に支払う義務がない状態)することにより,破産者の経済的再起を図る制度であり,放っておけば一生借金に追い立てられる状態をリセットできることが最大のメリットと言えます。
① 破産手続開始決定が下りると,資格・職種が制限される場合があります。
例えば,弁護士・公認会計士等いくつかの士業や宅地建物取引業者,生命保険募集員,損害保険代理店,警備業者,警備員などは,免責許可決定までの数か月間,一時的に資格を失うことになります。これらの資格・職種に該当する方にとっては,破産を選択すべきか否か慎重な検討が必要ですが,それ以外の方にとってはこのデメリットは無関係ということになります。
② 破産は破産者の財産を換価して債権者に分配する手続ですので,換価の対象となりうる財産は失うことになります。
不動産が代表的なものですが,その他,現時点での処分価格・価値が20万円以上の財産(現金については99万円まで)については換価対象となる可能性があります。しかし、サラリーマンや主婦など、家庭用財産など以外に高価な財産をもっておらず、破産に至る過程での浪費やギャンブルなどの行為の存在が疑われないような場合には、換価自体が行われないこと(同時廃止事件)もあります。
③ 破産手続開始決定の事実は,銀行・クレジット・サラ金業者などが加盟する信用情報機関に登録され(いわゆるブラックリスト),新たな借入やカードの発行が困難になります。
破産による最も大きなデメリットと言えるかもしれません。しかし,永久に登録されるわけではなく,概ね5年間から10年間程度で登録は抹消されますし,そもそも,借金で苦しんでこられた方がその上借金を重ねることがなくなるということ自体,必ずしも否定的に考える必要はないとも言えるのではないでしょうか。