私は、複数の金融業者からの借金を返すことができなくなりました。自己破産をするには不安があるので、手元にある現金を隠しておきたいと思います。こうしたことは、許されるのでしょうか?
債権者を害する目的で債務者の財産を隠匿・損壊することなどにより破産手続開始の決定を受けることは、詐欺破産罪という犯罪にあたりますから、許されません。
そもそも、自己破産によって債務者が不利益を受けることはほとんどありませんから、財産を隠すような必要もありません。
詐欺破産罪について有罪の判決が確定した場合は、「免責」が取り消されることになり、再び借金を返済しなければならなくなる場合があります。
当事務所は、ご依頼者の経済的な立直りを助けるために努力して参りますので、安心して当事務所にご相談ください。
破産に関する犯罪とは、破産法という法律に定められた、11の犯罪をいいます。
こうした犯罪を定めた目的は、債権者の財産上の利益保護、破産手続の適正な遂行、破産者の経済的再生などがあります。
目的 | 罪名 |
債権者の財産上の利益保護 |
詐欺破産罪 特定の債権者に対する担保の供与等の罪 |
破産手続の適正な遂行 |
破産管財人等の特別背任罪 説明及び検査の拒絶等の罪 重要財産開示拒絶等の罪 業務及び財産の状況に関する物件の隠滅等の罪 審尋における説明拒絶等の罪 破産管財人等に対する職務妨害の罪 収賄罪 贈賄罪 |
破産者の経済的再生 |
破産者等に対する面会強請等の罪 |
破産に関する犯罪が行われることは、あまり多くはありません。しかし、その中でも多いと思われるものに詐欺破産罪があります。
詐欺破産罪とは、①債権者を害する目的で、②債務者の財産を隠匿・損壊するなどの禁止行為により、③破産手続開始の決定を受けることをいいます。
①債権者を害する目的は、現実に破産手続が開始するおそれのある客観的な状態を認識していることと解されています。
②禁止行為は、債務者の財産を隠匿・損壊する行為のほか、財産の譲渡・債務の負担を仮装する行為、財産の現状を改変して価格を減損する行為、財産を債権者の不利益に処分する行為なども含まれます。
破産に関する犯罪の刑罰は、それぞれ異なります。その中でも詐欺破産罪は、①10年以下の懲役または②1000万円以下の罰金という重い刑罰が科されます。あるいは懲役刑と罰金刑の両方に処せられる場合もあります。
詐欺破産罪について有罪の判決が確定すると、「免責取消しの決定」がなされることになります。このことから、再び借金を返済しなければならなくなります。
そもそも、自己破産によって債務者が不利益を受けることはほとんどありませんから、財産を隠すような必要もありません。
当事務所は、ご依頼者の事情を詳細にお伺いした上で最適な方法を選択し、経済的な立直りを助けるために努力して参りますので、安心して当事務所にご相談ください。